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上田会計週報『所得税と消費税 税の常識・世間の非常識』2017.06.05

2017年06月05日

税の常識・世間の非常識

弁護士業をしている夫が税理士の妻に支払った税理士報酬が夫の必要経費として認められないという最高裁の判決が数年前にありました。いくら夫婦間といっても、妻も独立開業しているのであれば、支払った金額は夫の必要経費になるのではないか? そう考えるのが世間の常識でしょうが、所得税法には「生計を一にする配偶者その他の親族」への事業関連対価の支払は、必要経費にならない、との規定があるため、世間の常識を超える判決になっています

 一般的ケース 

「妻所有の建物で夫が商売をしているような場合で、妻が家賃を受け取っても夫の経費にはならず、妻のその建物にかかる税金や償却費や借入利息や修繕費などは夫の経費となります」。これが税の常識です。

ただし、これは対価の支払を禁ずるものではなく、必要経費として計算しないということを言っているだけなので、対価の支払いは世間常識どおりにした方がよいと思われます。どうせ無視せざるを得ないのなら、対価の支払など面倒だからやめておこうと考えるのは得策ではありません。

消費税法は違うのです 

財産の合法的移転ということだけではなく、消費税法上は、所得税法とは異なり、妻への家賃の支払等は課税仕入として税額計算上有効だということになっているからです。

つまり事業用の家賃ですから、消費税の課税対象です。支払った家賃には当然にも消費税が含まれると解釈されます。ですから支払った家賃の消費税は、夫の事業収入で受け取った消費税から差し引いて消費税を計算することができます。

妻が特に他に事業をしていなければ、当然にも妻に消費税の納税義務はありませんから、その効果は無視できません。

 

 

 

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