上田会計週報『ミッションと技術開発』2015.10.13
2015年10月13日
従来にない技術開発に挑戦する場合、ミッション定義を先に行ない、それを達成するのに必要な技術開発に進む「ミッション
先行型の技術開発」は、先進的な技術開発に適する開発方法で、期待成果が大きい反面リスクを伴いますので、事前検討を十分に行ない、その着手決定はトップの決断によります。
「ミッション先行型」のメリット
「ミッション先行型技術開発」の著名な先進的業績として、ケネディ米大統領の「アポロ計画」があり、1961年に同大統領が「今後10年以内に人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」と言うミッションを定義し、議会で表明した結果、次の画期的業績をあげることに成功しました。
・人類初の宇宙飛行船有人月面着陸
・それを可能とした高度な科学技術開発
・電子工学・遠隔通信・コンピュータ・工学分野における技術開発の波及効果
このように「ミッション先行型技術開発」は、民間企業においても
・現状から大きく飛躍する事業成果を創出し、そのための高度な技術開発を実現するための戦略的アプローチとして活用出来ます。
「ミッション先行型」の留意点
このような先進的な技術開発では、自社を核として、複数企業の協力や大学等研究機関との提携等が必要とされる場合が多く、また、リスクを伴いますので、取り組みに当っては次の事項について留意し、トップの意思決定に基づいて着手すべきです。
① ミッション定義は、アポロ計画のように、「達成期限・達成したい状態」を具体的に疑問の余地がない表現で定義する。
② 協力企業・研究機関と共にプロジェクトチーム編成等推進体制を整える。
③ 「基本機能・安全性等に関する不具合リスク・多額の費用負担の最小化・明快な市場優位性と開発投資利益の確保」を図るため、複数の技術開発コンセプトを設定し、事前の評価を行ない、推進企画を策定する。
④ 中小企業庁の「中小企業技術革新」等技術開発支援制度の活用を検討する。
⑤ 目標管理制度で採り上げる場合は、自社の総力をあげたトップ直属のプロジェクトチーム編成、高いチャレンジ度の部署間共同目標設定による推進が必要となる。