上田会計週報『能力・成績を理由とした解雇』2016.04.18
2016年04月18日
問題社員ならまず注意・指導を
企業においては時々能力不足や勤務成績不良など、労務提供がきちんと行われていない従業員に退職を促したいと考える場合があります。しかし能力不足や勤務成績不良と言う事由だけでは、すぐに解雇を正当化できるものではなく、このような時は指導・研修・配置換え等の措置によって能力や勤務成績の向上を図ってもなお、平均より著しく不良であることが明らかであり、向上の見込みもないのであれば、解雇が有効になる可能性もあります。
仮に著しく不良であっても会社の指導や教育・研修等を行わずに、配置転換や改善の為の猶予期間も設けずにいきなり解雇では労使トラブルになるかもしれません。
改善・対策はどうするか
能力不足・勤務成績・態度不良等は本人が気づいていない事もあるので、まずそのことを会社から本人に求める最低基準(会社によって尺度は違いますが)を具体的に示す事です。例えば営業職ならば、
1. 顧客からのクレームは月に3件以上ない事
2. 売上目標の最低ラインを示しておく等
また、営業職と言うわけではありませんが、態度不良や社内の他の従業員や顧客からクレームがある場合には具体的に改善対策を示し態度を改めてもらう等、一定の期間を設けて指導、教育してゆく必要があるでしょう。普段から指導記録を取っておいたり、始末書で自覚を促したりすることも必要です。もちろん指導した内容がすぐにクリアできないからと言って直ちに解雇ではなく、回避できるならばその方が良いでしょう。
能力見込み違いをした場合の対処
企業の求める能力を有する者として中途採用した者が能力の見込み違いで「思ったほどの能力が無い」等の場合の解雇は基本的には正当な理由には成りにくいでしょう。 採用時に特定の知識や能力を有している事を前提に雇用契約し、雇用契約書にも記載されている場合、解雇理由にされる可能性はあります。このような場合はまずは必要なその能力に対して賃金額が決められますから、一定期間後にその能力が見られなければ賃金の改定もありうることを定めておく事も有効でしょう。