上田会計週報『“ベンチマーク”の活用』2016.07.11
2016年07月11日
“ベンチマーク”とは、「社会の物事のシステムのあり方や規範としての水準・基準など」を意味しますが、企業における課題解決を図る場合は、「競合他社などの優れた経営手法(ベストプラクティス)を持つ企業を分析するプロセス」を指し、さらにそのような「優れたシステムそのものを自社版に置き換えて応用すること」を指します。
目標管理制度改善の“ベンチマーク”
“ベンチマーク”を目標管理制度の改善、改革に応用するケースで考えてみましょう。
目標管理制度は、重要な経営管理システムのひとつで、業績管理制度ですから、一般的には次のような課題が挙げられます。
大きな視点から課題を設定する場合
① 目標管理制度の活用目的明確化
② 目標管理制度のコンセプト設定
より具体的な視点で課題を設定する場合
③ 目標設定の方法
・経営貢献度を高める目標設定
・効果的な共同目標の設定方法
④ 目標達成プロセスのマネジメント
⑤ 評価基準の設定方法
・貢献度評価の方法
・絶対考課・相対考課の使い方
・チームワークの公正な評価方法
⑥ 人事賃金制度との関連付け
・目標管理制度と等級制度の関連
・目標管理制度と賃金制度の関連
・目標管理制度と人材育成制度の関連
自社の目標管理制度の運用実態に基づいて、「どこが、どのように問題なのか」を見据え、その解決を課題とすべきです。
“ベンチマーク”の手順・ポイント
改善・改革を必要とする課題を明確にした後の手順は、次の通りです。
① 課題に関する他社の目標管理制度に関する情報を、外部の事例発表会・専門情報誌・講演等から収集する。
② 他社情報から得た情報を評価する。
(自社の課題を解決できるか。)
③ “ベンチマーク”とすべき優れたシステムを特定する。(単一とは限らない。)
④ 自社のシステムを改善・改革する具体案を作成する。
⑤ 改善・改革したシステムを一定期間実際に適用して、効果を検証する。
単なる“真似”に陥らず、的確に自社の課題解決を実現することが大切です。