上田会計週報『海外事業の人材確保』2017.09.11
2017年09月11日
我が国では、人口減少に伴って国内市場の縮小傾向が強まり、生産拠点・消費地として中国・東南アジアが大きな存在となっており、人材確保が重要課題となっております。
海外事業活動の変化
経済産業省「海外事業活動基本調査」によれば、下表の通り海外事業が拡大しており、特に2008年以降の非製造業の現地法人数の増加が顕著で、04年比1.86倍に達しております。
海外現地法人数 | 現地法人従業員数 | |
2004年 | 24,011 | 575万人 |
2004年比倍率 | 1.60倍 | 1.39倍 |
また、国際協力銀行の調査によると、製造業の海外生産比率・海外売上高比率は大きく高まっており、2016年度(実績見込み)は4割に近づいております。さらに今後3年程度の中長期的な海外事業の見通しについて、80.5%の企業が強化・拡大すると回答しています。
海外事業展開を支える人事施策課題
海外拠点の増加に伴い、経営の現地化も視野に入れ、現地の幹部候補人材やナショナルスタッフの採用・研修・育成など、現地従業員のマネジメントを担う人材確保育成が課題となっており、特に中堅・中小企業において、本社の従業員を海外拠点に長期間配置するケースが増えています。
人材確保に関する経営者の留意点
グローバルに活躍できる人材確保を図るには、次の施策が必要です。
①人材要件の明確化
事業推進上の知識・技術・語学力・マネジメント力・海外事業に取り組む意欲等は当然ですが、長期派遣の場合、見逃せない要件として、“現地適応力”、それも家族を含めた適応力を挙げておきます。
配偶者の語学や現地適応力が不足したため、本人の現地生活が成り立たなくなった、という残念なケースも存在します。
②ウエイティングリストによる人材確保
上記のような人材要件を組み込んだ、海外長期派遣人材のウエイティングリストを整備し、次々と必要な人材を選択・動機づけ・育成を図る中長期的施策をお勧めします。