上田会計週報『仮想通貨に関する税務上の取扱い』2019.02.18
2019年02月18日
仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益は、原則として総合課税の雑所得に区分され所得税の課税対象となります。
取引区分ごとの所得の計算方法
(1)仮想通貨の売却
保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と取得価額との差額が所得金額となります。
(2)仮想通貨での商品の購入
保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額(消費税込みの金額)と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(3)仮想通貨と仮想通貨の交換
保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。
(4)仮想通貨の分裂
仮想通貨の分裂に伴い取得した新たな仮想通貨は、分裂時点において取引相場が存在しておらず、その時点では価値を有していないと考えられます。したがって、新たな仮想通貨を取得した時には課税関係は生じず、実際に売却又は使用した時点で所得が生じることとなります。なお、その取得価額は0円となります。
(5)仮想通貨のマイニング
マイニング(採掘)等により仮想通貨を取得した場合は、収入金額(マイニング等により取得した仮想通貨の取得時点での時価)から必要経費(マイニング等に要した費用)を差し引いた所得金額が、事業所得又は雑所得の対象となります。
法人が仮想通貨を保有する場合
法人が期末において保有する仮想通貨は、会計上、活発な市場が存在する場合は、市場価格に基づく価額をその仮想通貨の貸借対照表価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理します。活発な市場が存在しない場合は、取得価額をもって貸借対照表価額とし、期末における処分見込価額が当該取得価額を下回る場合には、処分見込価額を貸借対照表価額とし、取得価額との差額を当期の損失として計上しますが、税務上は当該損益の額について申告調整で自己否認することになります。
2017年から急拡大した仮想通貨市場は、今後も法整備等の動向に留意が必要です。