ミネルバ会計週報『振込手数料の負担はどっち?』2019.06.24
2019年06月24日
集金に伺うのが売った側の責務なのか?
営業職も売るだけで終わりではありません。代金を回収してはじめて一連の商売が一区切りとなります。ようやく代金が振り込まれて、いざ完了と思っても、そこで先方から振込手数料が差し引かれていたら、ガックリしますよね。
振込手数料を差し引く側の会社の主張には、「昔から集金原則が商慣習と決まっている。満額欲しかったら集金に来い!」といった乱暴なものもあります。果たしてそれが正しいのでしょうか?
原則はどうなっている?
商売をするにあたり、契約書等で負担者を明示していればそれに従います。もし、そうした取り決めがなければ、民法や商法の原則に従い、振込手数料は振り込む側の負担となります。
商売人同士の取引に適用される商法では、516条で、債務の履行の場所は債権者の現在の営業所であり、「顧客のところに集金に行く」とは真逆です。
また、相手が商売人でない場合は民法が適用されますが、ここでも484条で持参債務の原則が規定されています。振込手数料は弁済の費用ですが、民法485条で債務者の負担とすると定められています。
よって、合意が無い限り、振込手数料は債務者負担が原則なのです。
それでも振込手数料を差し引いてくる場合
債務の送金に際し、振込手数料を差し引いてくるところは、概して大きな会社が多いようです。昔からの商習慣だと思い込んでいるのか、代々先輩からそう躾けられてきたのか、業界の慣習なのかはわかりませんが、受取側からは、そうした態度は傲慢にしか見えません。
また、実際の銀行手数料額ではなく、一律に864円とか87円とか差し引いてくるような会社もあるようです。
対抗策としては、契約書・請求書等で、「振込手数料は振込人負担」と明記することです。それでも、発注側が偉いという態度で差し引いてくるところには、請求書額に振込手数料の金額を上乗せしましょう。
ただし、傲慢な会社はそれだけで取引を打ち切ると騒ぎ始めるかもしれませんので、注意が必要です。こっそり、商品代金に加算しておく作戦が、波風を立てない賢い対抗策かもしれません。