ミネルバ会計週報『 退職金や株式譲渡益に注意 基礎控除とふるさと納税』2020.12.07
2020年12月07日
ふるさと納税の時期です
個人の所得・控除によって決まる控除上限金額までの寄附なら、自己負担が2,000円で返礼品が貰えるふるさと納税制度。上限金額は今年の所得や控除によって決まるので、今年の所得が明確に分かる年末になるにつれ、寄附される金額が多くなります。
今年は給与所得控除や基礎控除に若干の変更点があったため、給与収入が去年と同額でも、若干の上限金額の増加(と同時に税額の増加となります)になる方がいらっしゃいます。
基礎控除の算定は給与所得以外もプラス
基礎控除の減額に関しては所得金額が、
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 基礎控除は 0円
となっていますが、この「所得金額」には給与所得以外の所得もカウントしますから、少々注意が必要です。
退職所得や株式譲渡益を申告した場合等は、この算定に入ってきますから、給与所得のみで計算して、基礎控除があったのに、確定申告をしたら基礎控除がなくなってしまった、ということもありえます。
ふるさと納税との関係
株式譲渡益の特定口座源泉徴収ありの場合で、申告不要を選択していると、その譲渡益はふるさと納税の控除上限金額の計算には入りません。譲渡益を申告(住民税も同様の申告方法とする)すると、ふるさと納税の控除上限金額の計算には入りますが、基礎控除の算定にもかかわってきてしまいます。
退職所得は一般的なものについては、ふるさと納税の控除上限金額の計算には入りませんが、基礎控除が減る所得に達すると、税額が僅かに上がるため、ふるさと納税の控除上限金額も少しだけ上昇します。今までは「退職所得はふるさと納税には関係ない」という説明で一律済んでいたのですが、一部の方に対しては、今年からはそう言い切れなくなりました。
このように、少しでも仕組みが変わると、各制度に波及して影響が色々と出てきます。税の仕組みの難しさを垣間見る一例です。