上田会計週報『米国がタックス・ヘイブンになる?』2016.12.05
2016年12月05日
トランプ新大統領誕生
2016年11月8日の米国大統領選挙の結果、共和党候補ドナルド・トランプ氏が、大統領就任に必要な選挙人270人以上を獲得し、勝利を収めました。今後12月19日の選挙人による投票を経て、来年1月20日にトランプ政権が誕生する流れとなります。
トランプ税制改革(米国もタックス・ヘイブンになる?)
トランプ氏が公約に掲げた税制改革は、所得税を簡素化して引き下げるほか、世界的に高い法人税率を35%から15%に下げて企業の海外移転を防ぎ、経済を活性化するというものです。
ところで、タックス・ヘイブンといえば、「法人所得税率が20%以下の外国子会社等」という基準がすぐに思い出されます。法人税率が15%になるということは、米国に子会社等がある法人は、タックス・ヘイブン課税されてしまうことになるのでしょうか?
タックス・ヘイブン対策税制-適用判定
実際に外国子会社合算税制(=タックス・ヘイブン対策税制)の適用対象となるか否かは、下記の判定を経て決まります。すべてが当てはまればこの税制の対象となりますが、貴社はいかがでしょうか?
①特定外国会社等に該当するか?
日本の法人や在住個人で50%超を保有する会社が、租税負担20%未満の国にあるか。
②適用除外基準をすべて満たすか?
「事業基準」「実体基準」「管理支配基準」「所在地国基準」(詳細は割愛しますが、事業を行うための事務所等があって、実際に実体のある事業の50%超を第三者と行っていればOKという基準です。)
③資産性所得があるか?
株式配当や著作権所得等の資産性所得を1千万円超貯めこんでいなければOK。
実態のある事業を行っていれば心配無用
仮に①の基準に該当しても、実態のある事業を行っていれば②で除外されます。そのため、米国に子会社等を持っていても普通に事業を行っていれば心配は無用です。
これは国際的に事業展開している多国籍企業の担当者でも陥りやすい誤解です。