上田会計週報『ポイント制度を運用する側の 会計・税務・マーケティング』2017.05.15
2017年05月15日
顧客囲い込み目的のマーケティングツール
“1回食事をするごとに1個スタンプがもらえて10個たまると1回分が無料”、チェーンの飲食店や商店街の小売店などでもよくある顧客囲い込みのためのマーケティングツールがポイント制度です。古くは紙のカードにハンコを押してくれるのが主流でした。昨今の家電量販店や航空会社のマイレージは、電磁的にポイントが付与・管理され、他社のポイントにも交換でき、疑似通貨ともいえる性格になっています。
ポイントの性格の違いによる収益計上
日本の会計基準を決める企業会計基準委員会では、「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」が行われ、昨年2月と4月に公表されています。
そこでは、①実質的に値引き販売であるケース-大型家電ショップのポイント、②ポイント残高により将来何らかの景品に交換できるケース、③航空会社のマイレージ、④コンビニやスーパー、ドラッグストアでのポイントカードなど性格の違いに応じて、売上からの控除や、原価相当の費用の引き当てなどが論じられています。
この議論は会計監査が必要な企業向けの話題ですので、説明はここでは省略します。
非電磁ポイントカードの会計・税務
もし貴社で紙にスタンプを押すポイント制度を運用していて、自社以外にポイントの効果が及ばないような場合には、ポイントが規定の個数になるまでは費用の発生がないので、実際に引き換えられたとき(=例えば1食無料になった時)に会計上の費用認識をすれば十分ともいえます。
※実際に運用する場合には、規定の決め方で会計・税務の扱いが変わってきますので、必ず会計事務所に相談してください。
非電磁データのマーケティングへの活用
本コラムで言いたいことは、データのマーケティングへの活用です。
分析も手作業となりますが、その効果を図り、次の戦略につなげることができれば、ポイント制度が活きてきます。例えば男女や外見の年代別に何種類かの色に分ければ、名前や年齢記載を求めなくともマーケティングに使えます。蓄積されたデータを基に、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を繰り返し、利益を積み上げて行きましょう。数字の検証は会計事務所にもサポートしてもらえば安心です。