上田会計週報『来日外国人の短期滞在者免税』2018.02.13
2018年02月13日
短期来日の外国人は課税されないのか?
観光ビザで入国し、日本中を興行(ヨガ講師等)で荒稼ぎをして帰国することを繰り返している外国人芸能人もいるようです。「働く期間が観光ビザ(90日)以内なら課税されない?」ということはありません。日本で稼いだお金のすべてが課税対象です。
そもそも観光ビザで来て報酬を得る行為自体が違法で、発覚すると国外退去処分になり次回以降の入国はできなくなります!
短期滞在者免税とは
課税の原則は、その国で稼いだ所得はすべて課税対象です。一方、租税条約には「短期滞在者免税」という制度があり、その要件に合致して所定の手続きを取れば、大手を振って免税となります。
短期滞在者免税というのは、「給与所得者(=サラリーマン)が相手先の国で勤務した場合、その国で勤務した分の給与(=給料を日数で按分)は本来その勤務先国で課税されるが、相手国と租税条約があれば、その勤務が短い期間(=各租税条約で適用は違いますが、年の半分=183日以下)であれば課税しませんよ」という制度です。
<主な条件>ただし、租税条約で違いあり。
(a) 報酬の受領者が年間合計183日を超えない期間その相手先国内に滞在すること。
(b) 報酬が相手先国の居住者でない雇用者等から支払われるものであること。(=自国で給料が負担・支払われるものであること)
(c) 報酬が雇用者の相手先国内に有する恒久的施設又は固定的施設によって負担されるものでないこと。(=滞在した相手先国の支店等による給与負担がないこと)
短期滞在者免税を適用するためには
短期滞在者免税は、サラリーマンのみならず、自由職業所得を得る人(相手先国に固定的施設を有しない)や、芸能人・運動家も、租税条約に規定があれば適用されます。
適用には、「租税条約に関する届出書」を事前に税務署に提出することが必要です。また、最終的に免税となる場合であっても、いったん源泉所得税を納付し、その後還付されるという手続きもあります。
いずれにしても、外国に住む人や外国の会社へ何らかのお金を支払うときには、常に源泉所得税の問題をきちんと調べる必要があります。相手先が個人なのか法人なのかによっても課税関係と適用される規定が変わっています。十分に注意しましょう!