上田会計週報『退職金の使い途』2018.06.11
2018年06月11日
退職金は永年勤続後のまとまった資産
サラリーマンなら定年後の生活について漠然とした不安を抱いている方も少なからずいらっしゃると思います。現実的にみると老後の保障が十分とは言えないまでも、定年後再雇用制度や老齢年金が普通に支給される状態であれば、贅沢を言わない限り食べては行けるでしょう。むしろ老後の大きな計算違いとなってしまうのは、退職金が出た場合、その使い途によっては老後計画が大きく狂ってしまう事です。退職金は永年勤めた会社からのまとまったお金であり、一度にそんなに大きなお金を手にする事はあまりないからです。
永年働いたご褒美か?
定年退職した時に多くの人がそれは永年働いた会社からのご褒美と感じてしまう事があります。しかし企業年金や退職金は給与の後払いです。本来給与の上乗せで払う分を企業が社員の老後の為に給与の一部を
積み立てている退職給付制度であり、企業にとって将来支払わなければならない退職給付債務です(たまに退職金前払いの企業もあります)。受け取る本人がご褒美と思っているとパッと使ってしまったり贅沢をしてみたくなりますが、これは現役時代の収入より減額される分を補てんするものと考えると無駄使いはできないものです。豪華客船世界一周クルーズなどに使うのも良いでしょうが、思いつきでなく現役時代に別枠で貯める等の工夫も必要でしょう。
余裕資金を支給された?
もうひとつの誤り易いケースとして資産運用と言う言葉に乗ってしまう事です。退職金は余裕資金と言う勘違いをして慣れない投資を始める事です。投資経験が無い人がまとまったお金を増やそうと、下手をして一度に株式等に投資し失ってしまう事があります。定年時に既にゆとりある資金を持っている人はともかく、これからの生活に充てるお金を大きく使うのは危険行為です。余裕資金と勘違いして生活資金である事を忘れがちになりますが、投資を行う場合でも少しずつ準備を始めてから行う必要があるでしょう。大きなお金を一度に手にする退職金を目の前にして気分は高まりますが、退職金はまずこれからの老後資金と意識して大切に管理、計画的に使う事が大事です。