ミネルバ会計週報『収益の認識が変わります 履行期間が一定期間にわたる収益』2019.03.04
2019年03月04日
履行期間が一定期間にわたる収益とは?
年間契約や数年にわたる契約で、その料金を契約時に一括で受け取っているような場合に該当します。一般的な事例としては、保守サービスや顧問契約等が挙げられます。従来から中途解約が認められている契約であれば、経過期間で按分して収益計上をしてきました。
しかし中途解約ができず、あるいは解約できても残りの期間の返金は無いような契約(返金不要の収入)は、契約時に一括して収益計上することが税務当局の考え方でした。
会計基準への歩み寄りか?
国際会計基準では「一定期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定期間にわたり認識する。」(企業会計基準41)となり、税務当局も「履行義務が一定期間にわたり充足されるものに係る収益の額の算定の通則」として、基本通達2-1-21の2~5を新設しました。その内容は各事業年度の進捗度に応じて益金算入することとしました。
ここまでは、会計基準も税務当局も従来の見解とあまり変わりはありません。
問題は「返金不要」の収入
会計基準では「返金不要」であっても同一の経理処理を要求しています。
これに対して税務当局は基本通達2-1-40の2を新設し以下のように言っています。「中途解約のいかんにかかわらず返金不要の支払いについては、原則として取引開始時に収益計上するが、契約等の特定期間における役務の提供ごとに、それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものと認められる場合には、当該特定期間の経過に応じて益金算入することを認める」
何とも歯切れの悪い文言ですが、嫌々認めると言った感があります。
留意点
「返金不要」の収入を経過期間に応じて収益計上する場合には、「契約等の特定期間における役務の提供ごとに、それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものと認められる場合」に該当するか否かを事前照会等で確認する必要があります。