訪問介護事業のはじめ方
2022年01月13日
高齢化にともない、介護サービスの需要が高まってきています。その中でも、今後ますます重要な役割を担うと考えられる訪問介護事業を立ち上げる際に、知っておくべき点についてまとめました。
訪問介護とは
介護が必要な利用者の居宅に訪問介護員(ホームヘルパー)が赴き、日常生活上のサポートを行うサービスです。利用者の要介護度の進行を防ぎ、自立した日常生活を支援することを目的としています。
訪問介護の仕事内容
訪問介護の仕事には、大きく分けて3つの仕事があります。
①身体介護
身体介護は、利用者の体に触れておこなう介護のことを指します。利用者の自立生活支援・重度化防止のためのADL(日常生活動作)向上を目的とし、食事や排せつ介助、入浴、体位変換・移動介助などのサポートを行います。
②生活援助
生活援助は、利用者本人や家族ができない日常生活に必要な家事を代行するというものです。具体的には、掃除、洗濯、食事作り、日用品の買い物代行や薬の受取りなどです。「利用者本人の自立を支援する」という目的があるため、保険適用のサービスの範囲としては、あくまで利用者の日常生活に必要なことのみとなっています。
③通院介助
通院介助とは、利用者が医療機関に通院する際に、送迎・付添をすることを指します。通院に対するサポートを目的とするため、原則としては病院内では医師や看護師など病院のスタッフが対応を行います。
その他、報告書の作成、利用者の家族への指導、医療機関との連携を図ることなども重要な仕事です。
訪問介護に必要な資格
身体介護を行うには、資格が必須になります。「介護職員初任者研修」は、「在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修」(厚生労働省)として介護職の入門資格として位置づけられています。厚生労働省の指針のもと、各都道府県の実施要綱に基づいて、各都道府県または各都道府県が指定した養成機関で研修を実施しています。多くの場合、取得するためには130時間のカリキュラムを受け、修了試験に合格する必要があります。
さらに「介護福祉士実務者研修」を受けることで、訪問介護事業所に必要な「サービス提供責任者」に就くことができるようになります。指定訪問介護事業所では、事業所ごとに1人以上サービス提供責任者の配置義務があり、開業する上で欠かせない存在です。
訪問介護事業の開業方法
訪問介護をスタートするために会社設立が必要
訪問介護をはじめとし、介護保険の適用を受ける介護事業者は、都道府県や市町村に指定を受け、指定事業所になる必要があります。そのためには、原則として個人ではなく法人でなければなりません。
法人の種類はいくつかありますが、はじめて介護事業所を開業される場合は、株式会社、もしくは合同会社での参入が多いです。
■合同会社
2006年施行の会社法で導入された会社形態です。経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員であるという特徴を持ちます。株式会社と比較して、設立費用が安いというメリットがあります。
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■株式会社
株主に株式を購入してもらうことで資金調達を行い、事業運営を行う会社です。そのため経営者と出資者が異なり、出資者は株式の投資金額以上の責任を負いません。メリットとしては、社会的信用度が高いことなどが挙げられます。
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事業計画を作成し必要であれば融資を受ける
開業のためには、事業内容や収益見込みをまとめた事業計画を作成しましょう。事業計画書によって資金調達の成功率も異なります。
創業融資制度には大きく分けて、日本政策金融公庫のものと信用保証協会を利用して行うもの二つがあります。
■日本政策金融公庫の創業融資制度
日本政策金融公庫は、政府系金融機関で創業者向けに特別貸付を行っています。なかでも新創業融資制度は、創業前または創業後間もない事業者が、無担保・無保証で利用できる創業融資であり、利用しやすい点がメリットです。デメリットとしては、やや金利が高い点が挙げられます。
■信用保証協会を利用して行う創業融資制度
自治体が融資の借り入れ条件を決定し、地域の金融機関が信用保証協会を利用して融資が実行されます。そのため、その保証料の補助制度などは地域により異なります。また、市や区の管轄との面談の後、信用保証協会と金融機関のそれぞれの審査を経ることになるため、融資が実際におりるまでに時間を要します。日本政策金融公庫より条件が良い場合や、日本政策金融公庫の融資額だと資金が不足する場合は併用して申し込みを行って資金調達を行っていきます。
創業融資制度の審査で重要視されるのが、自己資金の多寡です。借りられる金額は自己資金に比例すると言われています。
訪問介護開業のために市区町村の指定申請を受ける
前述の通り、訪問介護事業を行うためには、事業を開始しようとする地域を管轄する都道府県や市町村に介護事業者として指定を受ける必要があります。
指定されるための条件としては、法人であることの他に、介護保険法で定められた訪問介護の設備・運営・人員基準を満たしているかどうかがあります。条件をクリアしているかどうか確認できたら、申請に必要な書類を作成し、申請を行います。書類に不備がある場合は、原則申請は受理されません。開業日が遅れないよう、各地域によって異なる申請方法をよく理解した上で申請することをお勧めします。
まとめ
訪問介護事業を開業するためには、まずは会社設立が必要です。資格の取得や、資金調達、市区町村の指定申請のほか、設備や人材の確保など、さまざまな準備があります。
記事の内容をぜひお役立ていただき、スムーズな立ち上げを目指していただけましたらと存じます。
また、弊社でも訪問介護事業の開業についてお手伝いさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。