訪問看護事業の1000万円での開業例(介護福祉開業会計サポート)
2022年04月20日
いつもお世話になっております。介護福祉開業会計サポートです。当社では訪問看護事業の新規開業をサポートしております。
今回は、当社のお客さまの実例をもとに、手元資金1000万円での訪問看護事業の開業についてまとめました。
訪問看護事業をお考えの方は参考にしていただければと思います。
開業時の前提条件は以下となります。
【前提条件】
・手元資金1000万円のうち、自己資金として400万円用意し、600万円を日本政策金融公庫から借り入れ。
・看護師2.5人はすでに確保済み。代表者も看護師。
・訪問看護の経験のあるベテラン看護師がおり、医療保険による訪問看護が可能。
・指定申請等は自分で行う。
まず、訪問看護事業を始めるためには、法人格を取得しなければいけません。
代表的なものとして、株式会社と合同会社がありますが、合同会社の方が設立費用を安く抑えることができるため、合同会社で会社を設立することにします。なお、当社で会社設立をサポートした場合は、2万円で会社設立することが可能です。次に、事務所を借りる必要があります。訪問看護は、看護師が利用者宅に訪問するため、訪問看護ステーションは必ずしも駅近である必要はなく、低めの家賃の事務所を借りても良いとされています。ただし、毎月の家賃に加えて、敷金や仲介手数料といった、まとまった初期投資が必要です。ここでは、これら初期投資を60万円としました。
また、事務所の家具や什器、パソコン、都市部であれば訪問に使う電動自転車などの設備も必要になります。ここでは、これらの支出を100万円としました。
毎月かかる経費として、金額の大きなものとしては人件費が挙げられます。ここでは、法定福利費込みで、人件費を看護師1名あたり40万円としました。訪問看護ステーションでは、看護師が2.5名必要になるので、人件費は最低でも毎月100万円かかることになります。その他、家賃や水道光熱費、請求ソフト利用料などで、毎月35万円の経費としました。
売上高としては、ケアマネを中心に営業活動を行うことで、おおむね介護報酬収入は毎月15万円、医療報酬収入は毎月5万円増加としました。そのため、地域内にケアマネの知り合いなどがいると良いでしょう。なお、看護師1名あたりの売上は80万円/月を上限としています。
これらの状況をもとに数値計画を作成すると、次のようになります。
4月に訪問看護ステーションを開所する場合、2月から看護師を抑えておく必要がありますので、2月から人件費が発生することになります。ただし、交渉次第では給与の支給を抑える余地はあるかもしれません。一部経費も2月から発生しはじめ、4月には経費が135万円となります。一方、4月の売上は20万円で、単月で115万円の赤字となります。ここから順調に売上高が増えれば、10月に単月での黒字化となります。
次に、資金の流れで考えると、保険請求は2か月後に入金となります。(ここでは単純化のため、売上の全額が2か月後に入金としています。)
そのため、資金の増減がほぼトントンとなるのはそこから約2か月後となります。それまでは、手元資金はずっと減り続けることになります。
開業時の初期投資160万円も含めると、最大で累積1,007万円のマイナスとなっています。そのため、当初の開業資金として1000万円あれば、手元資金が大きくマイナスになることは避けられそうです。実際には入金と支払いのタイミングがあったり、イレギュラーなことも発生するので、余裕資金は必要にはなるでしょう。2期目になれば、制度融資を利用して追加で借り入れを行い、事業を拡大していくことも考えられます。なおここでは、給与を20日締め当月27日払いとしています。もし給与を翌月払いにできれば、その分手元資金に余裕が生まれます。
実際には、開業場所や職員となる看護師との関係性など、状況によってさまざまなケースが想定されますので、具体的な開業のご相談は専門家にご依頼ください。介護福祉開業会計サポート(ミネルバ税理士法人)では、訪問看護事業の開業支援を行っておりますので、これから開業をお考えの方はお気軽にご相談ください。